人格主導権交代1_発露

どう書くか考えあぐねていたが、時間を溜め込むだけなので完璧を目指さずさっさと書く。面白いから記録しておきたい。あと困ってる人の参考になるかなって。

人格分裂と書くと大変な病気に見えるが、ゆる分裂してる人は結構居るし、私もその一人だ。条件として、育ちに問題があると分裂する。

その辺この記事に軽く書いた。

人格の成り立ちについて - どこにでもいてどこにもいない

現在は段階が進み、基本二人。本人格である小さな男の子と大人である私、マネージャーが居る。

この小さな男の子は2017年の9月に突如出現した。会社を辞めて少し経ってからだ。沢山いた人格達の奥底に隠れていた。

私は奥底にいるらしき本体を引っ張り出そうと、あの手この手で自分を動かしていた。

当時デジタルで絵を描くのはもう無理だった。すぐ仕事に結びついてしまう。プロフェッショナルだった自負が強いし、完璧を求められ、それを忠実に昇華してきた。だから手が操作と目指すべき方向を全部覚えている。それが自由な発想を著しく汚した。「上手に美しく」から離れたい。もう触らない方がいい。

photoshopを封印して絵の具やクレヨンを触り始めた。「自由に描く」と言うことを出来た事は一度も無かったように思う。いつも人目を気にして「上手だね」と認められないと存在価値がないと思っていた。幼稚園の頃からだ。そして「上手、綺麗、うまい、すごい、構図が良い」これらは途中から褒め言葉では無くなった。全部表層を褒める単語だ。パッションが伝わらなければ絵なんて何の意味もない。空っぽになってしまう。うまいと褒められる事で満足できなくなった高校大学以降、虚無だった。

紙にクレヨンで描く。手触り、書き味、振動、手に付く汚れ。それらを楽しめば出てきてくれるという先生のアドバイスに従ってみたものの…子供のふりをして子供っぽい絵を描こうとしてしまう、私の脳内オーディエンス最優先システム。オーディエンス、他人、ひいては親の目。脳内に棲む親の目に常に監視されている。だから上手に描こうとするし、「子供にしては上手い絵」を描こうとする。本能に近い学習。何しろ褒められないと、認められないと心が死んじゃうので、本能に近いのも無理はない。

大人の私が大き過ぎて、子供の私は押し潰されている。だから描いても描いても、大人が描いてるだけで、子供がクレヨンに触れない。常にハンドルを大人が握っている。

絵を描くのに無心になっていた時期を思い出したかった。時々無心で描けてはいたけど、アニメ仕事になってからは殆ど封印していた。

手が汚れるのが嫌で、小綺麗で小利口な絵ばかりで、どうしたら正解なのか分からない。正解を求める姿勢が既に間違っているのも分かっている。

もうどうしようもないのだ。手を動かすしか道はない。脳内の目に見られているのは仕方ない。ずっとそうやって生きてきたんだから。諦めが転機になったのか、グリグリとクレヨンを塗りたくる感触を楽しめるようになってきた。

そしていたずら心

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エスカレートし
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あ、あ、手が全く制御不能に「靴履くー?」
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あらー凄いねえ!天才的な靴を描いてくれた。完全に親目線で写真を撮っている。下のデザイン画らしきものを描いているのは大人。
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これが彼の初めての発露。体のハンドルを彼が握った初回。本体の姿は小さな男の子だった。「うんこおしっこちんちん」が大好きな5歳にも満たない幼児。

当時の子供人格3名を視覚化したメモ。

靴を描き切り、飽き疲れて寝ている男児が今回発露した本体。完全にフリーダムな存在。(靴の絵を)消しちゃうの?と聞いてくる可愛い女児は素直・良い子を担当する人格。(仕方ないよ、洗わないとベッドに寝られないでしょ?)奥で本を読んでいる女児は防御の為に基本無表情を装い、親の機嫌を損ねない対応を取る役割。この無表情の子が今まで最も現実対応を背負ってきた。こちらを見ていないが、耳は常に警戒している。

練り消しゴムの変な宇宙人は本体が作った。前日までは大人が作った小綺麗な兎だったのだが…

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ありきたりでつまらないと一蹴され、作り変えられた。その宇宙人最高にかわいいね。天才。

さてこれを記録している私=大人はどういう位置付けかと言うと、マネージャーだ。この奔放過ぎて社会的扱いに困る本体の才能をケアしサポートする存在。流石にこのまんまでは現実世界で生きられない。家事も嫌だしダラダラしたいし遊びたい子供。事務手続きや支払いもできない。

マネージャーは親代わりであり、本体が気持ちよく過ごせるよう環境を整える。やりたいと言うならやらせてあげる。欲しいと言うなら買ってあげる。

彼の望みを叶えてあげる。彼の存在を肯定してあげる。褒めて伸ばしてあげる。それがゼロだった。希望が全く叶わない、彼のままで存在する事が不可能だったから、全てを諦めて奥底でコールドスリープした。そして望まれる形を生み出し、適応しようとした。

魂の根源をようやく掘り起こせた。

この後猛烈に眠くなり(何せ本体が既に寝ている)、必死でシャワーを浴びクレヨンを落として寝た。大人って大変。

多分続く。