#metoo 盗撮と抑止力、罰と幸せ_追記有

 勇気をくれる言葉だな。

こだまさんに習って書いちゃお~ふふふ。

昔会社で盗撮に遭った。スカートの中。それもかなり親しい先輩から。現実がえぐい。愕然とした。

逃がしたのだ。本人は犯行を認めたのに。新婚で奥さんが妊娠中だったから。犯行を認め謝罪していたので、容疑者ではなく犯人と呼ぶ。

犯人がまだ悪行を重ねているかは知らない。私の持っている証拠が抑止力になっているかどうかわからない。

あの時は私にとってベターな判断をした。憎しみに囚われる害が大きかったからしつこく追わなかった。でも何年もずっとチリチリしている。

#metooの数々の告発を見てその痛みも怒りも痛い程理解できた。触発される未だ治らぬ裏切りのショックと疑心暗鬼、悔しさ、当時我慢した感情は反応して外に出たがっていた。そういう時は出した方が良い。後でどうなるかは知らない。流れだせば落ち着くべき所に落ち着くのだ。

犯人の周りに居る女性が被害を受け続ける可能性を、あの時作ってしまった。私が野放しにすることを選んだから。

加害を見逃すことは加害の肯定になってしまう。この件は私の中だけで完結しない。

犯行を重ねるのは明らかに本人の責任だが、私も少し加担してしまったかも知れない。あの時やれる事は全てやったにせよ。

 

当時そいつが白状し謝罪した時に録音していた。やっと証拠を掴んだ後、同じ建物に所属する女性達には公表した。「こういう事があったから自衛して」と。皆ショックを受けていた。

そいつが辞めた後何も知らない男性達が「〇〇さんいい人だったよね~」と言うのがむかつくので、事実を部署の男性全員に公表した。「女性にはこういう被害がある。今後こういう事があったら守ってやってくれ」と。

そういう意味でシェアする意義は大きかった。部署の男性達は皆いい人なのだ。犯人と親しくしていた人達は絶句して、裏切られ、傷ついていた。一緒に傷ついてくれてありがとう、と思った。そもそも犯人も「親切ないい人」の一員だったのだ。
無理して「いい人をやり過ぎて」歪んだのだろう。

 

ただ会社の上の人間の内1人からは「リベンジポルノ(腹いせで盗撮写真をばらまかれる可能性)が怖いから公にしないでほしい」と頼まれた。会社を守りたい気持ちが滲み出ていると思った。ただその会社はもう無い。無いなら良かろう。

リベンジポルノが怖いとか言ってる場合ではない。もうそんな時代じゃない。
私以外の誰かも盗撮されていたとして、それを当時であれ今であればらまかれようが、そんなのは怖くもない。そうやって被害者を抑えつけてきたから犯人だけが野放しになる。やってられねえ。男性が男性加害を助長するならば、我々女が遮断するしかない。

当時から「リベンジポルノされたら被害者女性にとって良くないから」というのは体の良い言い訳にしか聞こえなかった。私以外にも「盗撮されていたかも知れない誰か」を守る正義の方便を気取っただけ。

ハッキリ言おう。そんな精神だから倒産して身売りすることになるんだよ。勿論それだけが原因ではない。要因は沢山あっただろうが、組織人員の自浄作用ゼロというのはかなり大きいはずだ。賞罰をハッキリさせないのは組織に有害だというのを身を以って知った。

会社の外聞が悪いから。犯人が役職と責任のある人間だったから。長期間貢献してくれたから穏便に。多分退職金も出ていたと推測している。

いやいや、ふざけんじゃないよ。犯人は罪を償わず逃げられたとは思っていない筈だ。しかし私がそう思いたいバイアスもかかっている。
そいつが辞める送別会で「お前が自白した時、録音してたから。犯行翌日すぐ弁護士に相談したし。」と耳打ちした。焦ったように頷いていた。演技かは不明だ。もう辞めるし逃げおおせた、と思っていた可能性もある。

弁護士は脅しっぽく見えるが事実だ。大学時代の知人がめでたく司法試験に合格していたので。
なお、弁護士によると「録画>録音」の順番で証拠能力が強い。録画できなかったとしても録音でも補強証拠にはなる。「いつ何時なにが起こったか」を記したノート、覚書程度もアリだ。筆記の方が良いようだ。日時があやふやな記憶よりはしっかりした記録として使えるそうだ。だからポケットにiphoneを隠して録音したのだ。今は録音アプリがある。

 

だがそれから5年経っている。当時は「抑止力として自分にできる事は全てした」と思っていた。自分の正義、感情を守る、仕事をする、日常をいとなむ、憎しみに溺れない、白状し謝罪した相手の立場…これら全てのバランスをとる、針の穴を通すような道だった。その当時の私は精一杯やってそのサイズのキャパシティだった。
思い返しても、ベターではなくベストではないかと思いたい。他の選択肢は無かったように思う。
加害した相手を呪わず、健全に過ごすことの何と難しいことか。他者を呪う道は避けたかった。憎しみと呪いは中毒になり、いずれ自分に牙をむく。人を呪わば穴二つとはそういう意味だ。

犯人の事も、犯人の家庭のことも考えていた。怒りは勿論ある。
だが今まで成し遂げた仕事、家庭のある立場、それを押しても犯行から半年経った後だとしても(その間の私のストレスは半端なく精神的には最悪だったが)、正直に白状し謝罪したという点は評価している。

だから「証拠は持っている」と耳打ちで済ませたのだ。いつでも暴露できるぞ、もうやるなよ、と。秘密を握られている感覚は重石になってある程度罰にはなるだろうと。私が知るやつの性格は少なくとも恥知らずではなかったと思う。何しろ過度なほどに「親切ないい人」なので。

しかし気になっていた。当時の室長から聞いた『朝会社最寄り駅のホームで降りた時、同じ電車だった彼に会った。「一緒に会社に行こう」と促したら「いや、ぼくはまだいいです」と嘗め回すような目でホームの人を見ていた』という話だ。
室長によるとその目つきが異常だったと。多分電車内や駅でも撮ってたんじゃないか?と言っていた。

だとしたら、奥さんが妊娠中だから性欲を持て余し魔に転び、会社で親しい私に出来心でカメラを向ける以前の問題で常習ということになる。この点だけはずっと気になっていた。もう検証はできないが。

 

そしてやつが辞めた後、邪魔者がいなくなり仕事に尽くしながらも環境に限界を感じ転職した辺りで#metooの波が来た。第一波が来た時、私は躊躇していた。なぜならその会社には良くしてもらった、大層世話になった人達がいたからだ。辞めた私が蒸し返して良い事があると思わなかった。犯人はとっくに他社で働いているのだ。

躊躇というか、まだ疼く傷をどうしたらよいか分からなかった。抑止力として耳打ちしてあるし、付近に居た人には公表し注意喚起したし、今更具体的にすることがない。だが感情的にはショックも悔しさも残っている。
あの時納得いかなかった「リベンジポルノが云々」という、会社と男に都合の良い無理により道理を引っ込めたこともずっと引っかかっていた。

そして5年経った今。犯人の中で風化されては困ると思った。躊躇の先にある望みが何となくハッキリしてきた。伝家の宝刀は抜かぬが花。だが私が抜かない女だと安心されては困る。抜く時は抜く。

公に罰を受けず、私が「世話になった恩」と「新婚で子供が生まれるからぶち壊したらお気の毒」「社会的立場がありながらも一応白状し謝罪した」という情状酌量によって野放しになっている罪。

しかし「逃げおおせる為周りにギリギリまで伏せて会社を辞めようとした」逃走の意思と卑怯さ。

「辞める事が発覚し私がすぐ迫った為にやっと口を割った(証拠不十分で犯行から半年何もできず)」良心の呵責に耐えかねたのか、針の筵に座り続け耐え難いと感じたのか、「辞めるからもういい、謝罪して楽になろう」と思ったのか、逃げ回った結果の自白。

そして電車内でも何かやっていたと思われる常習の臭い。寧ろ電車の方がメインだった可能性も高い。

野放しにしたことで次の被害者を生んだら嫌だ。抑止力をより強固にしたいと思った。
だがやつに直接コンタクトしたくない。関わりたくはない。正直これを書いている時間も建設的ではないし、意識のチューニングが下がる。楽しい事を考えたい。だがしこりを残すよりはよっぽどマシだし、書く事で新たな被害を間接的に止めるなら書きたいと思った。

犯人にとって戒めになればそれでよい。これは第二の耳打ちだ。

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名前を晒すのは私刑過ぎるのでぼかした。作品名も、作品に迷惑がかかるのは本意ではない。長いシリーズの役職は代替わりするので、無関係の他の人に迷惑がかからないように。本当は「作品に影響があろうがなかろうが罰しろ」という気持ちも持っているが。(広告も関係ないのでぼかした。)
意味があるか分からないが魚拓も撮った。wikiを本人が消したとしても記録は残っている。
この行為が過剰な制裁ではないと、今は信じている。冷静に思考しているつもりではいる。

[追記20210509
"作品に迷惑がかかる"これ、おかしい。もやもやする。
私は2019年の段階で「作品は関係ない」という擁護をしているけど、作品は大いに関係あるのではないだろうか?と2021年の今、考えている。

なぜなら犯人が長期間関わっていたタイトルが、某有名(悪名高いともいえる)な工□ア二〆だったから。工□といっても全年齢雑誌で連載していた漫画原作だ。"具"さえ見えていなければ何でもいける!とチキンレースをして崇められている作品だった。

私は当時作品に影響される事象がどれほどあるのかを理解していなかった。しかし男性である室長は「〇〇(作品名)のせいかな…その可能性はあるよ」と言っていたことも思い出す。「え、そんな事ありますか?」と聞いたら、「うん、あると思う」と明言していた。

室長は中年男性で、多分30後半~40代だったと思うが、この作品の客層である男性がそう言うなら、そういう「理性を外す誘因力」というものが作品にあったのだろうと思う。

誘因力…そもそも我々制作スタッフ(もう辞めたけど)は、そういう蜜を垂らして客を呼ぼうとしている。工□は抗えない誘因力がある。
それに抗わないで良いし、楽しい事なんだ、というメッセージを発信して、客を肯定する。後ろめたく思われないように、大っぴらに盛り上がれるようにすれば
儲かるし、それが給料になる。

それが魅力に映るように、客をいかに抗えないようにするか、それを緻密に計算して作っているのが制作側だ。だから自分達が作った罠に(私を巻き込みながら)自分で嵌った、そういう事だ。

また、撮影監督は長期間、長時間作品と付き合う事になる。今になってやっと理解するようになったが、毎日目にする情報を侮ってはいけない。
必ず刷り込みというものは発生する。だから目に入る情報はある程度コントロールした方がよい、というのが持論であるし、普及していない概念だが、おいおい結論になっていくだろう。(都合が悪いので認めたがらない人達は一定数いる)

2020年アtsuギ広報事件があったが、数年前盗撮されたその日、私はまさにデニムのミニスカに黒タiツを履いていた。(面倒な人に見つかりたくないので検索除けしている)
私には服でしかない。しかし"そそるもの"として彼らの脳裏に焼き付いたアイテムだったらしい事がよく理解できる事件だった。
まあそういう工□どうじん、大量にあるもんな。知ってるよ。

日々摂取する情報によって感覚を左右される。そういう事だ。
工□を摂取し過ぎれば、そっちの方角にアンテナが伸びまくり、なんでも工□と関連させてしまう回路が育つ。
]

 

この作業をし、書いている最中からずっと「罪を犯すって、こういう事なんだ…」と考えていた。本人がどう過ごしているかは全く知らない。のど元過ぎれば熱さ忘れ、また悪さしている可能性も十分に考えられるし、私の言葉に縛られ不自由しているかもしれない。
犯人の現状を知らない被害者が、忘れた頃に自分の気が済むように、こうやってネットに書く。自分に繋がりそうな情報を見せびらかしモザイクで隠し、「だが忘れていないぞ」と日常をおびやかす。ネットに浮遊する、探せば自分に繋がってしまう可能性のある情報。

罪を犯してそれが公に裁かれない、償わないというのは、こういう薄氷を生み出すんだ。安心して生活できない、いつもビクビクして大声で笑えない。
図太い人なら踏み倒してしまうが、繊細な人はひとたまりもない。

実際犯行から半年、白状するまでの間、職場での犯人の声はどんどん小さくなっていった。自信なさげで意見を殆ど言わなくなった。役職上ははっきり物を言う必要があったし、以前はそれをできていたのに。

自分を曲げてまで人に優しくするのは間違っていて、自分を曲げた分他者、女性を搾取するならその人は優しくはない。いい人でもない。自分の循環システムの異常を直視しない弱さが生み出している。
ストレスが溜まるほど「いい人」を演じなければならないとしたら、そうしないと成り立たないと思い込んでいるとしたら、その人がおかしいのだ。
この歪みにメスを入れないと本当には改善しない。反省し謝る気持ちが本当なら、やれ。
どこでどうしているか知らないし、あの時のお子さんが無事生まれたかどうかも知らない。妻子に罪はない。ただただ、本人の弱さだ。

誰にでも優しく親切な記憶。相談にも乗ってもらい仲も良かった。スカートに何か触れて振り向いた時に見た尻から離れるiphone、焦った顔と言い訳。その翌々日の「撮ってないけど誤解されるようなことしてごめん」という謝罪。証拠がないから動けずその後半年地獄の沈黙、辞めて逃げる間際とっ捕まえ「撮りました」と白状した時見せた一応の誠意、その後室長から聞いた電車でも盗撮常習だった可能性。

哀れに思えてくる。いい人を維持するための犠牲が多すぎる。この男は破綻しているのだ。いい人の素質もあるが、いい人と狡猾と卑劣と弱さが混ざって構成されている。
私は被害者だが、この哀れな人間の真の意味での安寧を祈る。

自分を視ろ。お前の歪みを直視しろ。それが躊躇の先に言いたかった言葉だ。

 

書くほど毒が抜けていく。やはり出す事は必要だった。ぷり。