着物八掛修繕〜バックパックを作るまでエスカレートする布への探求
- #1修繕_着物の八掛
- #2作成_ロールペンケース
- #3修繕_靴の中敷き交換
- #4作成_編み物_ハンドウォーマー
- #5作成_編み物_ネックウォーマー
- #6修繕_ジャケットファスナー交換
- #7作成_チャイナブラウス
- #8作成_バックパック
全く未知だった布類を触り始め、難易度のかなり高いバックパック設計アレンジから縫製までできるようになった5ヶ月の記録。最初の方は明らかにしょぼいけど、最後は自分でもどうかしてると思う。
#1修繕_着物の八掛
秋に安かった古着の着物を衝動買いし、沢山の動画を見て練習し、着方を覚えた。一時的なブームだ。着て外出もしてみた。着崩れはしなかった。
着方を覚えたのはふだん着物のtontonきよみさんから。とてもためになったので紹介。
そんな中気に入っていた着物の八掛がボロくて酷い有様になったので、修繕することにした。
最初はポリエステルの普通の裏地をユザワヤで買ってきたが、ミシンもアイロンも知識もない自分にはどうにもならない。三つ折りにするのに顎を使ったり、焼けたフライパンを使ってみてうんざりした。ググって調べるしかなかったが、これはちゃんと教えてくれる人に聞かなきゃ、と思った。
この時期近所の着物屋さんで古着セールがあり、その時相談した店員さんが着付けの先生もやってる人だったので、教えて頂く事に。結局絹を買い、アイロンを借り、ひたすらチクチク手縫い。修繕完了!
この手掛けた着物もそうだが、古着の着物が…えらくかび臭い事に気付いた。布自体が劣化しているのだ。現在はハッカ油をしみこませた和紙を忍ばせ、衣装ケースの中で眠っている。臭い消しはうまくいくのだろうか。本当は洗いたい。でも着物の洗いは高いのだ…これも自分でできるようになれたらいいんだけど。
#2作成_ロールペンケース
ハサミやらホチキスなど嵩張る物も入れられるペンケースがほしいけど、アイロンやらミシンも無いし初心者極まりない自分にできそうな型紙を探してやってみた。接着芯の概念をここで知る。
ロールペンケース。入るんだけど一々クルクルするの結構面倒…と出来上がってから判明。ファスナーに作り変えようかな…。
#3修繕_靴の中敷き交換
デザインと色が好み過ぎる靴(紫と赤っておま、すごいな)…だが正直足はちょっと痛い靴…を古着屋で安く買ってきた。
少し前に、中敷修理交換を自分でできる!というレポートブログ(アドレス失念)を読んだせいだ。この靴を買った理由は、修理してみたかったから。それだけ。
中敷がボロボロ…この剥がれ方は合皮。合成皮革は経年劣化するので、もうどうしようもない。これがあるから、多少高くても本革製品を買ってしまう。長持ちする品が好きだ。通販で本革の中敷を買って交換してみる遊び。クッション材として百均の中敷きクッションを切り込んで入れてある。
使った中敷きはこれ。
自分の足にはちときついから、一度も外に履いて出ていない。誰が欲しい人いる…?
#4作成_編み物_ハンドウォーマー
編み物をやったことがなかった。百均をウロついていると、毛糸が山盛り。そして鍵編み棒も。何も知らん。ただ、ハチクロでアユとハグが編んでたなあ、という記憶しかない。そして、私は女の子らしい趣味というものを敬遠して生きてきたのだ。何でも試したいお年頃に、何も試してこなかった。だから今やるんだよ!
少女漫画によくある、男に編み物をあげるくだりをちょっと鬱陶しく思っていた。重いとよく言われるアレだ。やった事も無いくせに、その「重い」を内面化していた。だったら編んでやろうじゃねーか!彼氏によお!
失敗しほどき、三回以上は編んだ。そして気力が尽きたので、片手だけあげた。
#5作成_編み物_ネックウォーマー
自分用。実用主義。ネックウォーマー、メビウスリング型を作る。
作って分かった。メビウス型は風を通すので、普通の円柱型にすれば良かった。
#6修繕_ジャケットファスナー交換
メルカリで買った、80年代?のわけわからんカラーのジャケットが、届いたらボロボロだった。ジッパーは硬過ぎるし、キルトの縫い糸はほどけてるし。元から縫製は汚いし。
これを修繕したい、そうまでして着たい。それくらいこのセンス、意味分からない。絶対これ、現代で見ない。こんなの買う人いないよ!需要ないから作る人もおらんよ!
…だから、ついにミシンを買ったよね。
何とかジッパー付け替えした。そして布が洗剤?樟脳?柔軟剤?臭いので洗濯…洗濯したのにまだ臭くて、どうしたもんか。まだ一度しか着てないのだ。
#7作成_チャイナブラウス
ミシンを買ってしまった…そしてアイロンも。つまり、服を作れちゃうって事では?やってやれないことはねえ!チャイナブラウス…できたじゃん…。
襟裏の縫製おかしいけど。襟裏についての助言は洋裁ができる方に既に頂いたのだが気力が無くてまだ修正していない。気が向かないと何もしない…今は凪よ。でも着るなら今しかないな、麻の半袖。
型紙は月居良子の[チャイナカラーの服]からだが、この本初心者には不向き。説明不足過ぎる。水野佳子の[きれいに縫うための基礎の基礎][パターンから裁断までの基礎の基礎]を読み込みまくり、やっと何とかなるレベル。
その後2冊もっと詳しい初心者向けと思われる型紙本を買い、布も買い、準備万端になってから、私の熱は冷めていくのだった…。飽きるとどうにもならん。
だがチャイナ服はかわいいよな。売ってないし。売ってるような服を作る意味はあまり感じないけど、作りたい欲というのは「どこにもない!なら作るしかねえ!」という所から発生すると思うのだ。
#8作成_バックパック
過去プレゼントした彼氏のリュックが壊れ使えなくなる。オレニマカセロー!が発動。
日暮里の安田商店3丁目店で11号帆布を買ってくる。
youtubeにアップされている先生の型紙をどんどん改良して、使いやすさを追求。色んな鞄の形式を盛り込む。
大元は上だが、ポケットをサイド縦に変更、逆サイドから内側に繋がる穴を作る。背中にポケットがあると汗で中身が濡れる心配があるからだ。
使うのは男性なので、背中の幅が私より大幅に広い。肩紐の付け根の幅を広げる。他のリュックの形式を見ると、下側の付け根には三角の力布をつける場合もあるのでそちらを採用。重たいと肩に食い込むので、肩紐の幅を広げ、中にクッション材として余っていたキルティングを仕込む。調べると最近のリュックは直線肩紐ではなく、S字やカーブを描いている肩紐らしい。型紙を直線からS字に変更。長さ調節可能にナイロンテープ、送りカン形式に変更。このあたりはクライ・ムキ[バッグ作りの超基本]を参考にしている。
内側は紙類、本が曲がらないように厚紙仕込んだスリット、ポケット3つ、マジックテープとDカンでペットボトルを固定する仕組みを仕込む。底は百均のまな板を切り、内布奥に固定。底鋲を仕込む。
マカベアリスさんの絵本[野のはなとちいさなとり]を読んだタイミングだったので、初めて刺繍をしてみる。黄とピンクのグラデーション刺繍。(とても好きな絵本。その後個展にもお邪魔する。ご本人も素敵な人だった…)
こんだけ調べて作ったら悔いはないよ。あらゆる懸念事項を解消したし、耐久性もある程度考慮した。渾身の集中力を発揮した。あとは実際どこまで「保つ」かだけだな。それは設計もそうだし、実際の縫製技術がものをいう気がする。設計は力がどこにかかるか、どう分散するかが肝ですな。
いやもう正直、設計がかなり最初から離れてるから、最後の締めがもう力技。特に内に繋がる穴をどうしたらいいのか、その辺は失敗して行きつ戻りつ。もう記憶が曖昧で書けない。あの処理を本当はどうするのか、どういう手順でやるのかプロに聞きたい。
ちなみに刺繍裁縫編み物にはいいたいことがある。これは…スポーツ…?何だ、これは…。ハッキリ言って知能と技術の戦争だ。私が毛嫌いしてきた女の子らしい趣味、に見えるけど。全然違う出来上がりはそう見えるけど…経過はすごい。部屋はぐちゃぐちゃだし糸くずまみれで、軽すぎてゴミ箱にうまく入らないから、もう床に捨てる。集中しまくってご飯作れなくてコンビニに買いに行っちゃうし、出来上がりを死ぬほど逆算したのに失敗して鼻を膨らませるかんじ。ひたすらトライ&エラー。今まで誤解してすまなんだ。実直な人間の営みだ。しかもものすごく頭を使う。服も鞄も、今まで歴史が培ってきた工夫の結晶だ。窓辺の昼下がりで優雅な刺繍とかお裁縫、あれは絵画の世界だったんだ。やってみて、初めて分かる。そして私が毛嫌いしてきた人々のドアが開いて、仲良くなれる人が増える。
今は布ブームは落ち着いてる。何か必要に迫られたらやると思うけど、今はいいや。ひと段落してかなり経ったのでやっとまとめられる。12月から4月までの出来事。